日本の誇り

sakapa

2009年02月17日 18:57

多くの方が大体は報道などでお聞きになったことでしょうが、村上春樹さんのエルサレムでのスピーチは素晴らしいです、鳥肌もんです。
日本人の心あるブロガーのみなさんが、その全文訳をブログアップしていましたので、自分の為に、コピー、リンクいたしました。


ハンドルネーム 「ひびのひび」さんのブログhttp://ahodory.blog124.fc2.com/blog-entry-201.html より 
    
「村上春樹さんのイスラエル講演をハルキ風に和訳してみた」

壁と卵 - 池田信夫 blogで英語のスピーチの抄録が紹介されていたので、ちょっとハルキ風に和訳してみた。


僕は小説家として - あるいは嘘の紡ぎ屋として、エルサレムにやって来た。政治家や外交官も嘘をつくけれど(すみません大統領)、小説家のそれは違う。

小説家の嘘は告訴されないし、またその嘘は大きければ大きいほど、賞賛も大きくなる。彼らの嘘と小説家のそれとの違いは、それが真実を明らかにするところ-全体の中から掴み取るのが難しい真実をフィクションの世界で紡ぎ出すところ、にある。だが、小説家はまず、自分たちの嘘を明らかにするところから始めなければならない。

今日は真実を話そう。そんな日は1年のうちほとんどないことだけれど。
この賞を受けるのかどうか、僕はガザでの戦闘のことで忠告を受けた。それで自分にこう問うた:イスラエルを訪れるのは適切なことか?それは一方の立場を支持することにはならないか?

僕はいくらか考え、来ることに決心した。僕も多くの小説家と同じように、人に言われたこととは反対に行動しやすい。自分の目で見て、手に触れたものしか信じないような小説家にとって、沈黙するよりは来てみること、来て話すことのほうが自然なことなのだ。そして僕は、立ちはだかる壁とそれにぶつかって割れる卵となら、その壁がどれほど正当でまた卵がどんなに誤っていようとも、卵の側に立つ。

僕たちはみな、割れやすい殻の中にかけがえのない魂を持ち、それぞれに高い壁に立ち向かっている卵なのだ。その壁とは、人としてそぐわないはずのことに人々を強制させる「システム」のことである。
僕が小説を書いている唯一の理由は、人が持つ最も尊い神性を描き出すことにある。僕たちを巻き込む「システム」に対して、その神性のかけがえのなさで満たすことだ。- そのために僕は人生を書き、愛を書き、人々に笑いと涙を差し出す。

誰もが立ちはだかる壁に対し望みを持てない:それは高すぎて、暗すぎて、冷たすぎる、僕たちはそんな割れやすい卵なのだ。だから暖かみや強さを得るために、心を繋ぎあわせなければならない。僕たちは自分たちの「システム」にコントロールされてはならない。それを作り出したのは僕達自身に他ならないのだから。

僕の本を読んでくれたイスラエルのみなさんに感謝しています。この場が何かの意義をもつことができればと思う。僕がここにいる理由とともに。


以上。

実は私は村上春樹さんの本を1冊も読んだことがありません、しかしこのスピーチを目の当たりにして、是非、読んでみようと思いました、なんとも配慮の行き届いた且つ自身のポリシーと見解をものの見事に表現されていて、読んでいて目が潤んでくる感動を覚えました、「壁と卵 - 池田信夫 blog」にも記されていますが 同じ日本人として、とても有難いですし、誇りに思います。
スピーチ全文をブログアップされた池田さん、またその英文を適切に和訳の上、ブログ公開していただいた笹部さん、有り難うございます。