起業前4 -振り出し-

sakapa

2009年04月08日 03:49

見えない潮流に乗っかるように日々が過ぎてゆく、そんな急展開でのハンズでの初商談となりました。

翌日、午前中に商社の社長の会社に寄り、ダンボール2箱分のサンプルをお借りして、ハンズ商談室へ。

「早いね~」

「イメージに合うかどうかわかりませんが、サンプル持ってきてみましたー」

「・・・・・・・」

「いい~じゃん」

「ちょっと待ってね」

で、数分後、
「これに記入してさ、印鑑証明とかとって持ってきてよ」
と書類を渡される。

新規取引口座開設書、 

正直、嬉しかったですねー、ただ反面、こんなに簡単に事を進めてよいものだろうか?とも心の中で思ったりもしていました、
当時、これほどの大規模店舗で個人商店に即口座を作る、なんてとこはまず有り得なかったですが、東急ハンズは違いました、仕入れ担当者が商品を気に入れば比較的簡単に個人でも取引が可能だったのです、だから品揃えが他店と違ってかつ、ローコストに細かく展開出来ていたのでしょう。

そして、その日のうちに、印鑑証明とって、申請書を届けに再びハンズへ。

「速攻やね」って笑って受け取ってもらいました、そして

「これが発注書」
「たぶん1週間ぐらいで口座が下りるから、口座が下りたら即納品出来るよう準備しといてね」

「あ、有り難うございます」
と言って渋谷を後にしました、
その後、仕入れ先に受注内容報告し 方南町の自宅に戻りました。
自宅で受注金額を計算すると48万円ぐらい、そのうちの3割ぐらいが利益なのでこの一日で前の会社での月給以上の金額が手に入る計算になったのでした。

そんなこんなで、ちょっとニンマリしていましたら、夕方、電話が鳴りました。

「あ、坂本くん」
「マネージャーの河野です、元気かー」

「あっ、お世話様です」

「なんか今日、商談にきてくれたようで有り難うねー」
「ところでさ、前の会社の社長があの後店に来てね、サンプルで預かってた商品全部うちから入る、って言うんだよね」
「とりあえず明日もう一度、来てもらえるかな」

「は、はい」

ということで、喜びも束の間、翌日 商談室にて昨日の受注はすべて前の会社の注文へとすり替ることとなりました。
ま、そうですよね、それほど世の中甘くは出来ていないのです、
よーく考えれば前の会社で取引を始めた取引先は筋道で言えば前の会社の取引先ですから、辞めた人間がそこの商品を持って元々の販売先にいくのはおかしいですわー、って自己反省しつつ商談室でマネージャーの話を聞きました。
マネージャーはとても好意的に説明してくれました、そして
「口座申請書は保留という形で預かっておくから、今までにない 君らしい新しい商品をもっておいで、そしたらすぐ開けるからね」

「頑張れよ」

「楽しみに待ってるからさ」

と笑顔で送り出してくれたのでした。

ま、これが現実でしょ。

その後、仕入先の社長に電話を入れ、ことの経緯を説明、
社長は「商品出さんでもいいんで」と言ってくれましたが
「今回は出来ましたら前の会社の方に出していただくと助かります」ってお願して帰宅しました。

さて、これからどうする? 

なんて思いながらいつもより早く眠ることとなったある日でした。

つづく。

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